Summary 2013

2013年12月14日、See-D Contest 2013 最終審査会が、六本木の政策研究大学院大学(GRIPS)にて開催されました。

2013年度のテーマは「現地との恊働」。新たな試みとして、現地調査、課題考察の段階から東ティモールの現地コミュニティを巻き込んで進めました。インクルーシブなプロセスを導入することで、単なる斬新さだけではなく、実現性と本質的な解決力の高いアイディアを創出してもらうためです。

当日も、審査会の様子をUstream+同時通訳で英語配信し、東ティモールでは、現地のパートナー、大学生、そして昨年度コンテスト参加者で現地滞在中の田岡さんが視聴し、リアルタイムでのやりとりが行われました。またフランスからは、同じくSee-D先輩の三浦さんが視聴してくださいました。

********<開会>*********
まず開会の言葉として、代表の遠藤より「今年のSee-Dプログラムの特徴は、初期の段階から現地のパートナーを巻き込んだこと。参加者が面白い方ばかりで、最初の自己紹介で誰一人すべらなかったこと(See-Dスタッフを除いて!)。BOPビジネスは数年前から一時盛り上がりを見せたが、一時の流行で終わらせたくない。そんな思いで、この活動をしています。」

続いて、参加者のプレゼンテーションの前に、See-D Contest 2012受賞チームからの報告です。昨年の審査会後も継続して活動している様子をレポートしていただきます。

*****<先輩チーム 第1部>*****
最初は、先輩チーム4-d松迫さんのプレゼンテーション。
非電化地域では気温16℃以下で水浴びをしている人々がいます。プロダクト『POPPO』を通して、より多くの人に「寒くて我慢しながらする水浴び」から「温かく幸せなシャワー」体験を届けたい。
現在POPPOは、バージョン3までプロトタイプを製作し、現地に温かいシャワー体験を届けています。現地の声「シャワーは寒くても我慢してするものだと思っていた」「ホットシャワーを始めてから、水浴び後の関節痛が無くなった」「温かいシャワーは、母乳の出に係るのでとても良い」。ホットシャワーを浴びる子どもの笑顔が印象的でした。

次の先輩チームはReal Sketchです。 電気の無い場所に光を届ける、ウェアラブルライトの開発をしています。昨年より製品プロトタイピングのブラッシュアップを重ね、複雑だった構造をシンプルに、さらに様々なシーンでの着用を試し、照らす角度を工夫しました。途上国向けの他、国内向け製品も作り、小型化・軽量化を進めています。

次の先輩は、東ティモールの物流課題の解決に向かうTranSMS瀬戸さん。 産業育成を阻んでいる大きな要因として「農作物や製品を作っても、売りに行く手段(流通経路)を確保できない」ということがあります。しかし、物流課題は、道路整備など大規模なインフラ面からのアプローチだけではなく、ソフトなアプローチで解決することだって、できる!SMSを活用した共同配送のしくみを作っています。
現在は、クラウドファンディングや投資家さんの協力を得て資金調達をしつつ、新たに現地の輸送パートナー3名と協力し、現地でテストを実施しています。チーム名TranSMSの由来は「Transport」「SMS」「スムーズな輸送」から。2012年度先輩活動レポートは以上です。

*****<チーム発表 第1部>*****

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いよいよ、2013年度参加チームの発表<前半>です。
トップバッターはOK pantsのみなさん。
まちづくり、建築、芸術、生物学、環境、様々なバックグラウンドを持つ多様なメンバーで構成されたチームです。提案するのは、吸収力抜群!オカラを吸収剤に使った「土に返る」オムツです。赤ちゃんの衛生環境を守るオムツニーズは高く、また現地で廃棄されてきたオカラを用いるため、低コストで環境に優しい製品提供が可能です。OK Pantsが目指すのは「衛生環境改善!赤ちゃん・お母さんHAPPY!OK PANTS!!」。

次のチームはTimostic(=Timor+Plastic)。現地に廃棄されているビニールを回収・洗浄・加工した「Timostic Sheet」という素材は「軽くて丈夫、水をはじく、加工しやすい」のが特徴。長い雨期「スコールに耐え、簡単に折畳め、手が自由、修理可能」な雨具を主製品として開発しつつ、将来的には日用品等の製造・販売もしていきます。日本の折り紙からヒントを得て、デザイン性も重視しつつ、現地生活に合せた設計をしています。

Ustream中継を見ていた東ティモールの大学生から「今、僕たちは、使い終わったものを、次にどう使うか知らない。だから捨てているけど、もし有効利用する方法がわかれば、良いことだと思う」とのコメントが入りました。

医学・生物学分野の大学院生で構成されたチーム4++からは、メコンデルタ地域における水問題を解決する、2つのプロダクトの提案です。現地には公共浄水設備がなく、家庭では川の水を汲んで水瓶に貯蔵し、生活用水として利用していますが、マラリアが繁殖し衛生環境の悪さが課題です。
1つめの提案は『Easy-cover』という蓋ですが「なんだ蓋か」と侮るなかれ。水瓶の上に置くだけで「閉めたまま雨水を貯蓄」「蚊の繁殖を防ぐ」ことができます。
2つめのつのプロダクトは『Alum-speed up』。浄水機能に加え、水供給まで一連の流れを自動で行います。水をホースで川から汲み上げ、そのまま水が瓶まで自動で運ばれ貯蔵されるので、人が川まで水汲みに行く必要はありません。人手不要!時短革命!現地にて既にプロトタイプが作られ、使用されています。

前半最後のチームは、専門分野が異なる理系メンバーにより結成されたPiece of Maker。東ティモールの芸術×日本の伝統である紙漉き技術を組合せたアイディア提案です。現地の新聞工場、ココナッツオイル工場と連携し、ココナッツの皮、廃棄新聞から紙を作ります。その再生紙に、現地の芸術家集団「アルテモリス」がデザイン・アートを施し、ポストカードや包装紙として販売、収益を得ます。Made in East Timorのペーパーデザイン産業で、芸術家の自立・活動の拡大と東ティモール芸術の認知度向上を促します。

*****<先輩チーム 第2部>*****

休憩を挟んで、第1回See-D Contest(2010-2011)先輩チームからの活動レポートです。遊力発電LinkWattの鈴木(真)さん、ココヤシ酒キットWanicの徳久さんです。

LinkWattは受賞後も、インド等にてニーズ調査を行い、それに基づいてプロトタイプを何度も製作しています。結果、当初の箱型から車輪型の発電ユニットに、形を変えました!開発に際して現在の優先事項は「コスト」「耐用年数」です。また新アイディア「写真と動画の配送サービス」を通し、現地での雇用創出も目指します。LinkWattに共感し一緒に活動してくれる仲間を絶賛募集中です!

Wanicは、フィリピンの酒造パートナーと連携し、2013年迄に、現地で150個のココヤシによる醸造・蒸留テストを実施しました。テストを通し、実現性・味・品質の向上を確保しました。現在では、ボトルバリエーションも増え、またカクテル試飲会でも「非常に美味しい!」の声が飛び交っていました。2014年はフィリピンでの製造/販売ライセンスの取得、プロダクトリリースを目指します!

*****<チーム発表 第2部>*****

審査プログラムも終盤、続いて2013年度参加チームの発表<後半>です。

次の2013年度参加チームはHoitto! のみなさんです。東ティモールの90%以上の家庭で使われている「3点式かまど」健康被害も多い。しかし改良かまどが普及せず、従来のかまどが使われ続けるには理由がある。
Hoittoは、従来の3点式かまどに「ほいっ」と乗せるだけの補助器具を開発。プロトタイピングでは煙被害を減らせることを確認しました。大切にしたのは、①現地習慣の大きな変更はもたらさないこと②使用メリットが分かりやすい価値を提供すること。目指すのは「普及する新かまど」、台所をHAPPYに!

ここで東ティモールの田岡さんより「

面白そう!健康被害もそうだけど、燃料節約もできると良いなぁ」とのコメントあり。

次は、学生とエンジニアが出会いビッグバンを起こしたというチームNOZOMINA(=NOZOMI希望+MINA油(テトゥン語))が提案するのは、東ティモールに自生する菜種等を活用し、新たに油産業と雇用を創出するアイディアです。菜種等の原材料、搾油機など、全て現地調達が可能です。現地で作ったプロトタイプではで実際に油を絞れることを確認。現地工場と連携し、美容油などのエッセンシャルオイルを日本向けに販売し、SNSやファンコミュニティを媒介にして東ティモールと先進国を繋げます。”Find Seed, Express PotentiOil.”

ビジネスエンジニアリング専攻の5名で構成されるチームBEBA。コメの大量消費国バングラデシュの稲作現場において、作業効率化による農家の貧困脱却を目指します。手刈りが主流だった稲刈り作業に、手押し稲刈り機『BRRI-OU Harvester』することで、腰を屈めることなく小さな力で迅速に稲を刈ることができるようになります。現地でプロト製作した結果、類似既製品に比べ80%コストカットを実現!実際に使った24人全員から「欲しい!」との声。稲作時短によって生まれた時間・体力を、他の労働や教育へと振り向けることで、豊かな農家を実現します。

2013年度参加チーム、最後の発表は、歯チームMmMのみなさんです。チーム名も歯が並んでいる様子をイメージしてつけたのだとか。東ティモールでは歯磨き習慣が無く、歯がぼろぼろな人が多い。MmMは、従来の歯磨きの問題点、①価格 ②輸送手段 ③普及方法の3点をクリアするアイディアを考えました。
提案するのは、現地素材で作る竹歯ブラシ『bamboo cool』何と5セント!製作工程は非常にシンプルで「竹を切る削る、柄を紐で巻く、磨り減ればまた削る」地産地消モデルです。プロモーションにインパクト大な『brushman』が学校に赴き、カードゲームを通し、楽しく歯磨き習慣を広めます!

******<展示会について>******

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以上、2013年度は、8チームによるアイディアの提案でした。発表後は、参加8チームに加え、過去の先輩チームも交えて、展示会が行われました。実際にプロトタイプを触って試して、会場来場者と参加者とが、にぎやかにやり取りを交わしています。来場者の中から、来年度の参加者が生まれるかも?

*******<結果発表>*******

See-D Contest 2013最終審査会、いよいよ結果発表です。
当日審査員をつとめてくださったのは、日本ポリグル株式会社の小田兼利会長、2003年から東ティモールへマイクロクレジットを続けているマツバファンド代表の高橋由美子様、日本財団の町井則男様、e-educationの三輪開人様、 東ティモール出身で岐阜大学に留学中のCancio Monteiro様。加えて、2012年度See-D Contest受賞者のTranSMS瀬戸義章さん、real sketchの峯元長さん、4-dの松迫崇道さん、そして、当日会場にお越しくださった来場者のみなさんです。

最終的に賞に選ばれたのは、下記のチームです。

最優秀賞:Hoitto!

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優秀賞:Timostic

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優秀賞:NOZOMINA

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先輩賞: Piece of Maker(4-dより), Timostic(TranSMSより), BEBA(real sketchより)
会場賞: Hoitto!


最優秀賞Hoitto!には、小田会長より「今現在は必要とされているが、3〜5年先も必要とされる製品なのか?3〜5年先、東ティモールの成長はどうなっているのか?そこを見据えてさらに付加価値をつけ改良していってほしい」と激励が。Hoitto!のみなさん、おめでとうございます!

そして会場から最も支持を得た会場賞も、Hoitto!のみなさんでした。会場から「着眼点が素晴らしく、今まで様々な団体から提供されては失敗してきた「かまど」というBOP向けプロダクトの課題にどういうアプローチで乗り越えるか、真剣に向き合っている」とのコメントをいただきました。

優秀賞NOZOMINAには、審査員の高橋様より、「みなさんのプロダクトは、まだまだ工夫する余地があると思います。過去に受賞した先輩たちのように、これからどんどん成長していってください。」とコメントをいただきました。

もう1つの優秀賞TimoSticは、環境に良いプロジェクトであること、ものづくりにデザインを加える姿勢が評価されました。審査員のCancio様より「雨の時にしか使わない雨具だけではなく、もっと日常で使い、まだプラスチックが使われていない物、ベッドカバーをぜひ作ってほしい!自分が一人目のお客さんになります。」とのコメントをいただきました。

先輩賞では、先輩たちが「これは!」と選んだ本が、各チームに贈られました。
4-d松迫さんより、Piece of Makerのみなさんへは、『自分の仕事をつくる』という、10年ほど前に松迫さんが愛読した本です。
TranSMS瀬戸さんより、Timosticのみなさんへは、瀬戸さんがインドを旅した際に訪れたFablabのドキュメンタリーが贈られました。
real sketch峯元さんより、BEBAのみなさんへは、『オープンサービスイノベーション』他、3冊の本が贈られました。

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審査発表が終わり、日本ポリグル小田会長より、総評をいただきました。
「毎年素晴らしいビジネスアイディアが発表され、期待したとおり成長しているということを強く感じた。途上国の成長は非常に速い。“発展した先はこうなっているんだ”というイメージを描いて、挑戦していってほしい。
また常々思っているのは『愛される仕事をしよう』ということ。日本の優しさ・丁寧さは途上国でも評価されている。みなさんもアイディアの実現を通して『途上国で愛される日本』ということを目指して、がんばってほしい。」

最後、See-D代表 遠藤謙より閉会の言葉です。「コンテストで勝つのと本物のビジネスをやるのとは全く違う。これで終わりではなく、ぜひ「ビジネス」として継続してほしい。審査員も投資家も最終的に見るのは『変わり続ける数年後にも、常に新しい価値を見いだせる人物なのか?』という、その人の資質。」
「See-Dという組織はまだまだ未熟です。会場にいるみなさん、See-Dと一緒に、様々な形でこの分野を盛り上げて行きましょう!!」‬

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See-D Contest 2013最終審査会、これにて終了です!

今回の審査会をご覧になったご感想・ご意見を、ぜひSee-Dまでお願いします(http://see-d.jp/contacts/)。また「See-Dに係りたい!」という方も募集中です。
「世界を変えるタネ、一緒に育てませんか?」