【12月9日】最終審査会

【12月9日】最終審査会

東ティモールへのフィールド調査から3ヶ月。去る12月9日に第2回See-D Contestの最終審査会が開催された。

第2回SeeD Contestのテーマは現地との協業。ワークショップから参加している6チーム31名は、8月、9月の2回にわたる東ティモールでのフィールド調査に加え、10月、11月に現地で案内役を勤めてくださったモルジーニョさん、マーフィンさんがそれぞれ来日し、そのつど意見交換を続けてきた。加えて最終審査会で発表する3チームもみな途上国でフィールド調査済み。そんな活動の軌跡を反映してか、各チームとも現地に根ざした具体的な製品・ビジネスの提案が相次いだ。

当日審査員をつとめたのは、日本ポリグル株式会社の小田兼利会長、そして、2003年から東ティモールへマイクロクレジット融資を続けているマツバファンド代表の松葉由美子様。加えて、第1回SeeDコンテストの参加チームであるWanic、LinkWatt、SunnySideGarageの各チームの参加メンバーも審査に加わった。また、SeeDの顧問でもある政策大学院大学の黒川清教授も特別ゲストとして来場した。

「どのチームの製品も素晴らしく、優勝チームを選んだといっても、それは半分運だと思ってほしい。」と松葉さんが強調していた通り審査は困難を極めた。

最終的に賞に選ばれたのは下記のチーム:

最優秀賞
優勝賞
会場賞
先輩賞

表彰後、黒川先生から「ぜひこの活動を海外で実践してほしい。グローバルで活躍してほしい。」との激励を、小田会長からは「東ティモールにとどまらずもっといろんな国で活躍を。もっと現地で実践を。」と喝をいただいた。

発表会後、さっそくネクストステップの相談や、来場者との情報交換があちこちのチームで行われていた。9チームの活動が、この発表会にとどまらず、実際に途上国の現場に届くものになるように、SeeD実行委員一同も全力でサポートしていきたい。

各チームの詳細はこちらから:

発表のトップバッターはOUESTの1チーム目、「OUEST洗濯機チーム」。モップ絞り機から着想を得た足こぎ型洗濯機Washqueezerを発表した。バングラデシュに住む女性達が、電気の通っていない村々で、何時間もしゃがんで洗濯をする姿を見て、なんとか負担を軽減できないかとチームでアイディアを練った。

同じ洗濯の光景から、この洗濯という行為を生かしてマラリア予防ができないかと考えたのは大阪大学OUESTチーム。蚊よけ効果のあるハーブオイルを内蔵したマイクロカプセルを混入した洗剤を開発し、洗濯を通じて服に蚊よけ効果を持たせるアイディアだ。大阪大学の所属研究室で研究されている技術を応用したこのアイディア、大学発ならではの発想だ。

アジアで最も安全な水へのアクセスが悪いといわれるカンボジア。そのカンボジアに安価でシンプルなプロダクトでもって、安全な水を届けたいと立ち上がったのが、Water Boysチームだ。現地で水の運搬に使われているポリタンクの口に取り付けられる簡易濾過装置JIROを開発。現地で作れて現地で使えることに重点を置き、使っている事を意識しないくらいのシンプルなデザインを目指した。

同じ水でも、水浴びに着目したのはチーム4-d。東ティモールの村落地域の大部分では川の水で体を洗っている。赤道直下の国とは言え、山岳地域の村では夜は相当冷え込む。なんとか暖かいシャワーを届けられないかと開発したのが移動式ホットシャワーPOPPO。暖かいシャワーだけでなく、日本の銭湯のビジネスモデルも届けようというコンセプトだ。

水は人も潤せば大地も潤す。東ティモールピティレティ村での非効率な水まきの仕方を見て、水まきをもっと効率よく、そして楽しい作業にできないかと知恵を絞ったのはTJMチームだ。ピティレティ村では、水をポリタンクに入れ、数キロ離れた畑まで運び、そこから底に穴をあけた缶で水をやるという非常に非効率な方法で水やりが行われている。場合によっては数時間もかかるというこの作業を、背中に背負う竹籠と水鉄砲さながらの竹ポンプを組み合わせ、背中に背負ったポリタンクから水を飛ばして水やりができる装置を開発した。

同じピティレティ村で、かまどの非効率を発見したのはチームwind makers。石を三つ並べ、そこにまきをくべて使うかまどは調理時に多量の煙が出る。その室内空気汚染が原因で命を落とす女性や子供は毎年世界で200万人にのぼる。wind makersはその空気汚染を足踏み換気扇によって解決できないかと考えた。

ピティレティ村の夜は暗い。深い闇に浮かび上がる星空は息を呑むほどに美しいが、その中では10m先の厠まで行くのも一苦労だ。電気のない世界の村落地域でどこでも使えるライト、それがReal Sketchが開発した身につけられるライトEarth Starだ。ライトの用途は様々。手首に巻いて懐中電灯として使えるだけでなく、机に置けば勉強用に、柱に巻き付ければ調理時に、胸元に巻き付けて裁縫に、といろいろ使える。突出したデザインの良さで注目された。

発表中の寸劇が秀逸だったのはチームLORO。竹のジョイントのユニットを普及させる事で、途上国の人たちが竹とジョイントをレゴブロックのように組み合わせていろいろなモノを作れるようできないかと考えた。途上国には魚を与えるのではなく、魚の穫り方を伝えたいと思い、「運搬用具」そのものではなく、そのユニットとものづくりワークショップを提供するというビジネスモデルを考案した。

同じ運搬でも、東ティモールの首都ディリと地方の村々をつなぐ運搬の課題に取り組んだのはTranSMSチームだ。首都から各村々のキオスク(小さな商店)へ荷物を運ぶトラックが走っているが、実は帰りの荷台は空であることが多い。その空きスペースに着目し、村から首都に商品を運んで売りたい人に、空きスペースの情報をリアルタイムで携帯を通じて提供し、空き容量を利用した安価な運搬ができないかと考えた。東ティモールはじめ、多くの途上国では、地方から都市への運搬コストが障壁となって、地方産業が成長できずにいる。TranSMSはそんな途上国の多くの地域に展開可能なプラットフォームになりうる。

計9チームの発表後には、途上国向け適正技術を開発する他団体も交えて展示会が行われた。途上国向けの安価な義足を開発するD-Leg Japan、ケニア/ベトナムなどで活動を行っている東京工業大学国際開発サークル、昨年の優勝チームであるWanic、LinkWattなどが参加チームとともに製品を披露した。