See-D Contest 2012
See-D Contest 2012第1回ワークショップ、いよいよ始まりました!今回のテーマは、『途上国のものづくりの三種の神器を学ぶ』。「観察」「デザイン」「ビジネス」という3つの切り口から、途上国ものづくりで大切なマインド・技術の基礎を学びます。
nイントロダクション 10:00-10:30
See-Dスタッフの中村より、今回のプログラム全体の説明があり、続いてアイスブレイクが行われました。実は中村、初回プログラムの参加者であり、東ティモールフィールド調査経験者、そして最終審査会の出場経験もあるエンジニアなんです。
その方法としてどの手法にも共通しているのは、
FWに役立つおすすめツールは、iPad、ICレコーダー、カメラ、バッテリー(ソーラー)、A3-A4サイズのボード、そしてスケッチブック。ICレコーダーは、インタビュー録音の他、自分の感じたことを瞬間的に記録するのにも便利。また記録の際には、プロトタイプ製作の際に参考となる具体的な数値(大きさとか、個数とか)をも意識すること。スケッチブックは、Tinkeringの際に非常に有効なツール。インタビューをする際、「相手が何を欲しがっているのか?」と「こちらが渡したいもの」のギャップを短時間で埋めること、言語の違い・通訳者のバイアスを避けるにも有効だとのこと。
最後にプロダクトデザインの過程において、「Develop Your Mindset」=「思い込みをはずす」ことが重要と強調されていました。「事前に立てた仮説は、事実とは必ず異なる」という意識を持つこと、そして「実際に現場行って聞かなければ、わからない事実がたくさんある」ということを、事例を交えて話していただきました。
プライベートでの関心事では、「若者の将来・就職」「貧困」「就職活動」から「バレーボール」「ドラクエ」まで。See-Dに関心を抱いた背景としては、「ドラえもん」から「チャレンジできるフィールド」「日本よりもやれることは広い」と感じたからとのこと。あふれる思いを語ります。1テーマ1分では足りないほど。「その気持ち、わかります!」といった発言がされていました。
このワークショップの目的は、「StructuralConstructivism」。価値観の異なる人たちが、メンバーの関心事やストーリーと、自分の関心との共通点を見出すことで、思想のギャップを解消していく手段。チームビルディングやインタビューでの質問をする際に有効。半年後、このWS参加者たちも、Wanicのようなワクワクするチャレンジをしているのでしょうか。(Period 1終わり)
さて、頼さんのレクチャーに戻ります。まずビジネスモデルの定義は、「どういう形で価値を作り出し、その価値を、そのどういう形でターゲット層に届けるか」ということ。そして、ビジネスモデルを考えるにあたってまずやることは、Value Proposition「価値命題」を決めること。
気をつけることは、主体は「自分や自分の技術・アイディア」ではなく、「目の前にいるユーザー」だということ。いったん自分のアイディアや技術を捨てまっさらになって、「ユーザーが本当に必要なものは何か」を考える。
さらに、彼らに「価値を提供し課題を解決」するだけではなく、それを以って「満足してもらう」「喜びを感じてもらう」レベルまでまで持って行くことが必要、と教わりました。
<WS> Business Model Canvasを使って、ビジネスモデルを理解しよう!考えよう!
ここでは、Vision Springの事例を使います。Vision Springとは、世界の貧困層にめがねを届けることをミッションとしたSocial Entrepreneurです。
(1) まずVisionSpringの事業を、Business ModelCanvasに落とし込み、ビジネスモデルの全体像を理解する。
(2) さらに、事業をスケールアップするためにどのような改善策が考えられるか、議論から導き出す。グループでのランチを経て、かなりチームワークが良くなってきましたようです。参加者からのスケールアップ策として、「めがねのアフターケアサービスを始める」「途上国と先進国をつなぐ、めがねfor Two」「学校や村長さんの家をマーケティング/販売チャネルとして活用する」「めがねのフリートライアルを行うことで、まずめがねの価値/必要性を理解してもらう」「現地人→現地人向けのトレーニングシステムをつくる(←トレーニングインセンティブをつけたらどうか?という頼さんのアドバイスあり)」等、多くのアイディアが生み出されました。
最後にFWではぜひ自分の仮説を持って、現地の人に「このアイディアにValueを感じるか?」と聞いてみてほしい。そうすると、自分のビジネスモデルが機能するか見えてくる。そのためにも「価値命題は、1フレーズで言い切れる、シンプルで明確なものを考えてほしい」とのお話がありました。(Period 2終わり)
さて、本日最後のパートの講師は、日暮良治さん。JICA等のプロジェクトにて数々のFWを経験、現在はアイ・シー・ネットで途上国でのプロジェクト計画立案/評価の研修を行っているプロフェッショナル。
まず日暮さんからの問いかけ「FWで何を知る必要があるのか?」に対し、参加者から「本当の姿」という答えが。そうです「Reality(彼らの現実)」を見に行くのですが、日暮さん曰く「しかし、全てを知ることはできない」と逆説的なお話が。どういうことでしょう?
<WS>
Fact→Finding→「自分の思い込み・先入観」を知る
(1) Fact:まず水汲みをしている3枚の写真に映っている事実を挙げていく。
(2) Finding:そこからどんなことが読み取れるか、各自の解釈を加える。
(3) その後、自分のどのような思い込み・常識・価値観から、そのFindingが導き出されたのかを、考えてみよう!
思わぬ展開に、参加者も興味津々。「水はすぐそこに、いくらでもあるもの」「外は裸足ではなく靴で歩くもの」「子どもは学校に行くべき」「水汲みは苦しい」「物事は効率的に行うべき」「飲み水と生活用水は使い分けるべき」「重い物は車で運ぶべき」などが、自分の中にあった思い込みとして挙げられました。
その後の「自分たちの常識が全てでは無いのかも」という参加者のコメントに日暮さんは笑顔。上に挙げたような自分たちの価値観が、途上国でもあてはまるのか?を、ぜひFWで見てきてほしいとのこと。
日暮さん自身、途上国での改良かまど普及プロジェクトの失敗から、見落としていた事実がたくさんあること、人の行動は、決して1つの要素だけで決定されるのでは無いということを、学んだそうです。日暮さんのアドバイスとしては、一見、自分の仮説に関係無さそうな事柄でも、調査を限定せず、全体を見る意識を持つこと。つまり「知った気になるな」「早合点をするな」という姿勢が大事。一見非効率に見えても、人の行動には必ず理由がある。それを見落とさないように、「全ての要素がどのようなシステムで機能し」よって「全体として何が起こっているか?」という眼をもってFWに臨んでほしいとのことです。
まとめとして、FWでのポイントは、①フラットな目で見る(→自分に先入観があるという認識を持つ)、②バイアスを意識する(→トライアンギュレーションを使う)、③完全な真実は見えないという姿勢(→思い込みを疑い、新しい情報に常にオープンでいる)、の3点。これで、「三種の神器」習得完了です!
■日時: 2012年7月29日10時~19時
(懇親会:19時半~21時)
■ 会場:Loftwork ID
参加者:WS参加者31名、
オブザーバー2名、部分参加者15名
■ 記事作成:高橋直子
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